2011年2月19日土曜日

味なコラム 1

 An 8-year-old boy
ねこ舌は直る!と思う。

ねこ舌の人と話すと、それは自分の体質だと思い込んでいる人がとても多いように思います。実は私も紅茶屋を始めるまでは、しっかりとねこ舌でしたので”ねこ舌体質”は、実感として
理解できます。

ねこ舌の人は、熱々のおいしいものを食べたいと思っていても、口の中の皮膚感覚が熱さに耐えられないか、あるいは食べたとしても舌がヒリヒリしたり、上あごの内側がやけどによって不快になることを経験的に知っています。また意外と見落としやすいのが、熱さだけではなく辛さにも同様に弱いことが共通点としてあることです。

ねこ舌の人とそうでない人の違いは、どこにあるのでしょうか?

おそらく、1つ目は舌や口の中の粘膜がもともと繊細で熱に弱い。2つ目は食べ方(や飲み方)が不器用、ということがあるように思います。

1つ目が、例えば人それぞれに皮膚の感覚や強さ(熱刺激)が違うように、口の中でも同様に
個人差があることについてはイメージしやすいと思いますが、気付きにくいのは2つ目に関連
する食べ方(や飲み方)の違いです。つまりねこ舌でない人は、熱さや辛みの強いものを上手
に食べることを感覚的に習得しており、結果としてねこ舌の人によくある不器用な食べ方と違う
のではないかと考えています。

小さな子供は例外なくねこ舌です。そこから成長するに従い、徐々に熱いものや辛いものを食
べられるようになった人たちは、熱さや辛味などの刺激物を、いつからか口の中で上手に受け
止めて食べるコツをつかみ、しかしそのコツは説明しようもなく無意識にできてしまうと考えると
思います。

上手に受け止めて食べるコツというのは、人が持つ舌の感受ポイントを知るとわかりやすくなり
ます。私たちは舌の表面(味蕾)で味の多くを判断しますが、その中でも大きな役割を持つのが
舌先の部分です。味見をするときを考えると、まず舌先に対象物(食べ物や飲み物)をつけて
試すのが普通だと思います。舌先は多くの味をとらえることが出来るのですが、同時に熱さや
辛さにも、とても敏感に反応するのです。

ではねこ舌でない人は、舌先と舌全体をどのようにつかっているのでしょうか?上手に受け止
めて食べるコツとはどんなことなのでしょうか?

誰にでもできる簡単な実験を例にあげて説明してみましょう。
コップ(やカップ)に、冷水とお湯(70度位)をそれぞれ入れて用意し、それを飲み比べます。
注意深く飲み比べてみると舌の使い方が両者では違うことに気付くと思います。

その違いは次のようになると思います。
冷水では、舌先から含み全体に流し込んで飲み込む。
お湯では、舌先を前歯下につけて隠すか、舌のつけ根のほうに軽くカールしてお湯が当たら
ないようにして流し込み飲み込む。

ねこ舌でない人は、舌先を隠すことを無意識に行っていると思います。いかがでしょうか?
つまり舌先にお湯が当たらないようにしながら舌の中央で一旦受け止めて、奥に流すと結構
楽に飲むことができます。もちろん「ズズー」と少し空気をいれながら含むなど、口の中の使い
方のコツは、まだあると思いますが、この中央部分を上手に使うことは食材を加熱(調理)して
食する人間にとって大きな役割を持っているように思います。

舌中央の部分は、おもしろいことに熱さや辛さに対して鈍感ゾーンなのです。さらに甘味や塩味
などの味に至っては全く感受しません。疑う人は綿棒や楊枝の先に塩をつけて舌中央部分に
押し当ててみてください。砂糖も同様の結果になります。しかしそれを舌先で試すと味がすぐに
わかってしまうのは不思議です。

では、おいしさは、敏感に感受する舌先を使わないとなれば、判断ができないのかというと、舌
の奥中央とその両サイド(奥歯横)あたりに、チェックポイントがあるため、大丈夫なのです。
そしてさらにいえば、人が食べ物や飲み物を味わうために最も重要な働きをするのが、この舌
の奥部分なのです。つまりそこでおいしさを味わうためにも、舌中央部分が鈍感であることは
意味があるのです。

まとめてみます。ねこ舌の人は熱いものや辛いものを口に入れるとき、舌先からではなく舌中
央に一旦置くようにしてから噛んだり飲んだりすれば、それだけでも随分違いがでると思いま
す。後は慣れです。普段、それを意識的に繰り返していけば徐々に変わってくると思います。

無理して熱すぎるものや辛すぎるものを飲食するのは暴食ですが、「熱いからおいしい!」 
「辛いからおいしい!」 そんな味わいや味のバランスもあると思います。是非お試しあれ。


国吉 清三




0 件のコメント:

コメントを投稿

紅茶Q&A 22

アイスティーにするにはどんな紅茶がいいのか? ---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------...